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実際、この 3コマ目の「しまった」は変な選択である。 おそらくなにか卑語を入れようとして "damn!" かなんかを直訳したら 「しまった」になっちゃったのだと思う。 作者は日本語のわかる人間に確認しなかったんだろう。アホだなあ、 「クソったれ」か「畜生」にすべきだったね、 それでもまだ英語の卑語に比べるとぜんぜん弱いが…。 たとえば、"moざーfuっかer" に相当するほどひどい日本語っていうのは あんまり思いつかない。「お前の母ちゃん出別荘」とかじゃおかしいし、 「回線切って首つれ」は実世界では通用しないし。 思うに、日本語というのは悪意を隠す言語なので、 こうしたあからさまな卑語は少ないと思われる。 むしろ、「慇懃無礼」こそが日本語の失礼さを示す真骨頂なのだが、 それをガイジンに説明すんのは大変だ。
それにしても、本来比較できない他言語の卑語をとりあげて 「強い」とか「弱い」というのは、どういう感覚からくるもんなんだろう?
さて今月更新できるのはこれで最後になると思はれる。
それはそうと、さいきん、トチョカン (図書館) に入りびたっている。 ひとつは暑さのせいもあるが、 新山はもともと図書館好きなのだが、いやー、これほど沢山の日本語の本を スキ勝手に読めるとは! 何年かぶりだ。新山はふつう小説をほとんど読まず、 読むのはもっぱらノンフィクションなのだが、ジャンルはかなり でたらめである。最近読んだので面白かったのが、葬儀屋の書いたエッセイと、 もうひとつ、 「里のサルとつきあうには 〜野生動物の被害管理〜」(室山泰之 著、京大出版 生態学ライブラリー #21) であった。ようするにこれはニホンザルの 食害対策について研究者が書いた本で、どうやってサルを (生態調査するために) レーダー追跡するのかという話から、日本のサルとヒトとの 関係が昔からどう変化してきたかという話とか、いろいろ書いてある。 しかもサルの行動や群れの構成・およびその時間的変化などのデータを もとにかかれてるので、実際のサル駆除にはあまり役に立たないかもしれないが、 学術書としてはすごくおもしろい。この本で示されているのは、 基本的には「リスク管理」の考え方である。結局、人間はサルとの関係を どうしたいのか、というある程度のコンセンサスがないとダメなのだ。 なぜならサルとヒトのどちらか一方が譲歩するのではなく、 両方とも折れなければならないんだから。こういうリスク管理の考え方は さいきん流行っている。とくに知られているのは環境問題についてだが (安井至や 中西準子のページはおすすめ)、 はっきりいえば、この考えはどの分野にも結構あてはまると思う。 交通事故もそうだし、「いじめ」のような問題にも適用できるだろうな (もっとも、そんなこと公で言ったら絶対イカる人がいるだろうけど)。
で、そうすると新山としては当然考えるのは、いろんなソフトウェア上の問題でも リスク管理の考え方はあてはめられるんじゃないか? ということである。 企業ではソフトウェア開発におけるリスク、 というのはある程度認識されているようだが、 この業界にはもっといろんな (個人に対する) リスクがある。 たとえばバグが出た場合や、ワームにやられた場合などがそうだ。 すると、こうした事態をふまえたうえで被害を最小にするような 設計・使い方というのは、どういうものか? 現在の OS・アプリケーションがそういったことを考えて設計されているとは とても思えないし、ユーザ側にもそんな意識はない。というか、 対策はいろいろされているのだが、どれも「最終的にどういう状態に落ちつけば 理想なのか」というコンセンサスがないために、バラバラなんである。 そもそも、いじめや交通事故が絶対にゼロにはならないように、 ソフトウェアのバグはゼロにはならないし、ネット上からの攻撃も絶対 ゼロにはならないのだ。それをふまえたうえで、じゃあどうすんだ、 少なくとも個人ユーザはどう使えばいいんだ、という提案をすることは 現時点では非常にむずかしいと思う。
問題: あなたの常識を使って、以下の質問に答えてください。 (所要時間は 1時間)
上にあげた問題は、どれも絶対的な正解というものがない。 重要なのは回答が論理的に一貫していて、もっともらしいかどうかだ。 それに問題はわざと曖昧にしてある。なぜなら曖昧な仕様から 「それらしい」実装をでっちあげるのがプログラマーの重要な素質だと思うからだ (ちなみに新山は SE とプログラマーを区別してないので、 ここでいう「プログラマー」というのは設計もする人のことである)。 そしてそのときに足りない部分を補うのは自分の知識と常識である。 それは世間 (あるいは、ユーザ) の健全な常識となるべく 一致していることが望ましいし、同時にそれを納得させられるだけの論理性が 必要だと思う。Knuth の「文芸的プログラミング」には、彼が TeX を実装するとき 一部のプログラミングを学生に (仕様を説明して) やらせたが、 あとで帰ってきてそのコードを見たら、自分の説明がいかに不足していて、 その学生が多くの箇所を推定しなければならなかったかを知って ガッカリした、というようなことが書いてあった。アルゴリズムの鬼 (かつ、説明を商売とする仕事) である Knuth でさえそうなのだから、 ましてや一般的にはどんだけ大変なことか。
ワインバーグは、よいプログラマーになるには ずばぬけた算術能力など必要ないといっている。 Dijkstra は国語力こそがよい計算機科学者になるための資質だと考えた。 たぶん、どれだけのプログラミング言語や環境を知っているかは 関係ないのだろう。それは新山もそう思う、なんしろ 「知識だけはある、使えないバカ」ってのは結構いるからな。 曖昧な問題に対するアプローチや想像力、 統計的なセンス、論理的一貫性、コニミュケーション能力などが 大切なのだろう。もちろんそれに必要な論理や読解力は前提といえるけど。 しかし上にあげたような問題では評価するほうも大変だろうな。 ま、プログラマーの適正を簡単に評価できるなんて思っているヤツがいたら そいつはすでにプログラマー失格だろうkedo。
ところで、 「この部分だけ google インデックスの作成を禁止する」という html タグ <noindex> 〜 </noindex> があれば便利だと思うのだが…便利じゃないか。
あれ? あのお知らせがまだ来テナイじゃないか。どうなっとるん駄?
れちゅーが
い
とまーて
...oh, nein!
しまったぁあ! 今日も高木ハツ江を見逃した!!
―― いったいこの謎めいた注釈は何だ?
f
を並べて表した数 0xfff...fff
は
つねに合成数であることを証明せよ。
回答:
0xfff...fff
は、f
の個数を n とすると
24n-1 で表せる。
24n-1 = (22n)2 - 1 = (22n + 1) (22n - 1)
よって 24n-1 はつねに合成数。
注意:
ただし、2進数で 1
を並べて表した数 111...111
(メルセンヌ数) がつねに合成数であるとは限らない。
たとえば 111
= 7 は素数。
こう考えると、32ビット整数や 64ビット整数の最大値 (232-1 や 264-1) をハッシュの法として使うのは 理想的ではないのだろうか? よくわからん。 ちなみにビット演算に都合がいい素数としては、 231-1 と 261-1 がある。
(追記: よく考えたら、232-1 とかいうのは ハッシュの最大値であって、法ではなかった。 法は文字どおり 232 だ。とすると 2n は どうしたって素数ではないのだから、上のビット演算がどうとかいうのは ただの寝言だってことになる。)
まあ、よいハッシュ関数をつくる、などというのはこれはもう 数学屋の仕事であって、システム屋の仕事ではない。 暗号やハッシュ関連の関数をいじっていると、整数論についてもっとちゃんと 勉強しておけばよかったと思う。新山は整数論はいつも苦手だった。 ついでにいうと確率・統計もにがてだ。 でもこれらは時間をかけてでも勉強する価値がある科目であると思う。
…なぜプログラムを「所有」してはいけないのだろうか? 画家は絵画を「所有」しているし、作家は著作物を、 建築家は建築物を「所有」している。このような帰属性があるからこそ、 すぐれた人々が劣っている人々から賛美され、模倣されることに なるのではないだろうか。書物に作家の名前が記してあることは、 その本を読んだときに何が期待できるかをはっきりさせる、 という効用があるのではないか。それと同じことが、プログラムについても 言えるのではないだろうか。そうかもしれない。 ただし、人がプログラムというものを読むならば、である。 われわれは、そうでないことを知っている。 だから個々のプログラマに対する賛美は、その仕事の模倣にはつながらず、 むしろ彼らの癖を表面的になぞるだけの結果に終わる。…-- プログラミングの心理学・第4章 (強調は新山)
しょうもないソフトウェアを、それが手に入る 唯一のものだからという理由で使っている人のなんと多いことか。 あんたのことですぜ。
www.youtube.com/ユーザ名/日付/ID
みたいにすればわかりやすいものを。
こういうのも Web のインターフェイスでは重要な側面のひとつだと思うが、
みんなだれも気にしてないみたい。
しまった、今日は高木ハツ江を見逃した。
きょうのニュース:
1. うちのママンがベコニャーの鉢 20個をわずか 100円で買ってきた。 衝動買いらしいが、20個で 100円って。ゆるすよ
2. きょうは近所の葬儀屋の社員旅行だったらしい。 葬儀屋の社員旅行は友引におこなわれるという事実をば知る。
もう一度 NY に行かなければならないのだろうか? せっかくあそこから逃げだしてきたのに。
とかやっていたのだが、きょうあることに気がついた:a = x >> 5 b = x & 0x1f
(a,b) = divmod(x, 32)
どうでもよろ。
おまけに、この雨ってるにもかかわらず
朝からクシャミは 8連続ぐらいでるし。まった
く。
なんなのよ?
てくるで (ところで、) きょうもナス地獄なのか。 なんでもいまは収穫期だから誰もかれもナスを持っているというが、 田舎はコレだから。
てくるd, Safari でd, クッキーを受け入れるが、 ディスクに保存するのだけは禁止する方法を発見した。
こうする:
こうすると、session cookies は受け入れるが、 Safari を終了すればそれらは保存されず破棄される。ぬっく$ chmod 0400 ~/Library/Cookies/Cookies.plist
回答: 誕生日のパラドックスを使う。 365日のかわりに 232個の値が重なる可能性を求めるわけだから、 n個のエントリを追加したときのハッシュ値の衝突確率 C(n) を求める:
C(n) = 1 - (232-1 / 232) × (232-2 / 232) × ... × (232-n / 232)
だが、数値計算の精度問題があるので log を使って書き直そう:
C(n) = 1 - exp { Σi=1...n log(232-i) - n × log(232) }
さてこれを Python で求めると:
p = 0.0 N = 2L**32 logN = log(N) for i in range(200000): i += 1 p += log(N-i)-logN if i % 10000 == 0: print 'i=%d, log(p)=%.4f, C=%.4f' % (i, p, 1.0-exp(p))
で、これの実行結果は:
i=10000, log(p)=-0.0116, C=0.0116 i=20000, log(p)=-0.0466, C=0.0455 i=30000, log(p)=-0.1048, C=0.0995 i=40000, log(p)=-0.1863, C=0.1700 i=50000, log(p)=-0.2910, C=0.2525 i=60000, log(p)=-0.4191, C=0.3424 i=70000, log(p)=-0.5704, C=0.4347 i=80000, log(p)=-0.7451, C=0.5253 i=90000, log(p)=-0.9430, C=0.6105 i=100000, log(p)=-1.1642, C=0.6878 i=110000, log(p)=-1.4087, C=0.7555 i=120000, log(p)=-1.6764, C=0.8130 i=130000, log(p)=-1.9675, C=0.8602 i=140000, log(p)=-2.2818, C=0.8979 i=150000, log(p)=-2.6194, C=0.9272 i=160000, log(p)=-2.9803, C=0.9492 i=170000, log(p)=-3.3645, C=0.9654 i=180000, log(p)=-3.7719, C=0.9770 i=190000, log(p)=-4.2027, C=0.9850 i=200000, log(p)=-4.6567, C=0.9905
つまり、(十分にランダムな) 異なるエントリを 20万個追加すると、たとえ理想的な 32ビット・ハッシュ関数といえども 約99% の確率で衝突するわけである! しかし、実際のハッシュ関数はこんなに理想的でないので、 もうすこしキャパシティが少ないと思う。 たとえば CDB で使っているハッシュ関数は 32ビットだが、 15万個ぐらいでほぼ必ず衝突があった:
def cdbhash(s): return reduce(lambda h,c: ((h * 33) ^ ord(c)) & 0xffffffffL, s, 5381L)
それにしても mac のキーボードはほんとにストレスがたまりますu. おまけに暑くなるし、もう死にそうだ。
ところで (てくるで、) 鼻水の出すぎで脱水症状になるということは ないんのんんだろうか?? ?
最近、あらためて GEB を読み直している。 「書籍が自分自身に言及する」というアイデアはドグマグにも出てくるが、 ドグマグを初めて読んだときにはあまりショックを受けなかった。 なぜなら、このアイデアはすでに GEB で見知ったものだったからだ。 それにしても、あいかわらずの GEB の爆発ぶりに比べると ドグマグのような小説ですら見劣りしてしまう。なぜなら、ドグラ・マグラは しょせん架空の理論にもとづく架空の物語でしかないではないか。 あ、いや、GEB もフィクションといえばフィクションなんだけど… よくこんなキチガイ的なアイデアをいくつも思いついたもんだよなあ? この本は読者を混乱させるのが目的ではない (そら途中は混乱するんだけど)。 しかし、その「これでもか」という有無を言わさぬぶりは すべて逃げようのない現実であり、。、 、 だ。 これじゃ人生狂わされたくもなるわな。。
ああ言語中枢がうまく働いていない
ナスって調理のバリエーションが限られててこまるよね。 アク抜きしなきゃなんないし。 キュウリとかタマネギならいくらでも使い道があるんだけど。
オレはだんじて思わない。
どうでもいいけど顔認証とか指紋認証って、 かんたんに偽造できそうな気がするんだけど…。 顔認証なんか、写真見せたらおわりじゃない? 「ユーザ名」のかわりにはなるけど、「パスワード」のかわりにはならんだろう。
cur/cur.html
がすでに 2週間以上 404 な状態にもかかわらず、
しつこく定期的に GET を続けるアホなクライアントが結構沢山ある。
ふつう、これだけエラーが継続したら自動的に中止するだろう、
と思うのだが、アホな設計なんだろう。ちなみに、そうした
アホなクライアントのトップ 5 は以下のとおりである (数字は 3日間の合計):
なにはともあれ、こうしたアクセスは全部あわせても 1日に 約 300 ヒット程度だということがわかった。新山が 自分の日記をサイトに置くにあたって一番心配するのは 「人様 (unixuser.org) のサーバに必要以上に負荷をかけやしないか?」 ということだが、まあこの程度ならいいかもしれない (自宅サーバのときは これでもすげー迷惑だったけど)。144 202.222.28.229 "Plagger/0.7.17" 72 61.205.61.137 "UserAgent=libwww-perl/5.76" 72 59.106.19.87 "FreshReader/2.0.07032300" 72 59.106.15.201 "samidare antenna http://www.jmuk.org/samidare/" 27 222.145.155.81 "Hatena Antenna/0.5 (http://a.hatena.ne.jp/help)"
まあ、どうでもいい (ddi)。
これは現在アメリカの食糧事情を説明したもので、日本にはあまり関係ないが、 まさに米国の食い物が「死んでいる」状態であることを詳しく説明している。 これは新山の経験から言うまでもないことだけど、米国の食い物自体はひどい。 なぜかというと、米国ではもはや「ふつうの家庭」が農業をして 生活することはできないらしい。各スーパーは価格を下げるために問屋みたいなものを 通さないので、たいていの農家が農産物を消費者に売って利益を上げるには、 スーパーなどの大規模流通チェーンに直接売りこむしかない。ところが、 ほとんどのスーパーはあくどいことに「棚置き代」を大量にふんだくるし、 しかも売れなかった商品の返品はすべて農家持ちにさせる。しかもスーパーは だんだん合併して巨大企業化するので、なおさら権力が強大になる。 いまではウォルマートやマクドナルドのような超・大規模チェーンが かなりの農場をほとんど言いなりにコントロールしている状態らしい。 で、こうした企業はすべて生産効率を極端に上げようとするので、 いまではほとんどの家畜は成長ホルモンを山のように投与されている。 そのため米国で売っているたいていの (Organic でない) 肉や乳製品には大量の 成長ホルモンが含まれている。とくにウシは "drugstore cow" といわれるほど 大量の薬品を投与されているらしい。とうぜんその中には牛肉に加工されてからも 残留する物質があると思われる。こうした物質をいっこいっこ調べて、 人体への長期的な影響を測定することはものすごく大変だろうから (BSE だって、あれだけ研究しながらまだ推測段階なのだ)、 実際には牛肉の被害はまだほとんどわかっていないと思われる。 野菜や果物に関しても農薬のすごさはいうにおよばずだ。 米国で流通しているほとんどの安価な肉や野菜は、 こうした食料工場で「合成されている」状態である。
さらにすごい箇所は、農業労働者に関するくだり。これはすさまじいよ。 アメリカの安い食料は、じつは (主にメキシコ) 移民によるほぼ無尽蔵な 労働力に支えられている。実際、アメリカの安い肉を食うのはほとんど ヒトを食っているようなものだということがわかった。 たとえばニワトリを加工して鶏肉にする場合、 現在はまだニワトリの各部位を自動的に精肉することはできないので、 人手でナイフを使ってカットする必要がある。ところが、これがすごい。精肉工場は 1日に 一人あたり 1万羽以上ものニワトリを処理させるのだ。 生産性を上げるため、加工する作業員は 1羽につき平均 約 3秒ほどしか時間をかけられない。で、彼らはなんの訓練もせず、メキシコから 大量にバスで輸送されて農場で降ろされ、 いきなり刃物を与えられてベルトコンベアの前に座らされる。 そんな具合だから、このスピードでは鶏肉のかわりに自分の手を切ってしまう人が 続出する。ところが彼らはろくな治療を受けられず、傷はたいてい悪化して 手遅れになることが多い。この業界の傷害率は米国のどの職業と比べても高い 15パーセントである (これでもかなり低く申告されている可能性がある)。 そもそも彼らにはトイレ休憩すら認められていないのだ。 また、たいていの移民は 1セントでも多く送金したいので、保険に入っていない。 またこうした人々のうち、農場で働く人々はガンや白血病の発生率が異常に高い。 農薬が大量散布されている中で働かされるためだ (しかも、彼らの中には 妊娠しているにもかかわらず働きにこざるをえない母親がいる)。 これだけの危険度にもかかわらず時給はせいぜい 6ドルである。 そしてほとんどの作業員は英語も喋れないので、 自分たちの権利も知らないし、訴訟を起こすこともできない。彼らは ただいきなりバスでメキシコから中西部あたりの農場に連れてこられて降ろされる。 住居はネズミが出る劣悪な環境で、家具もない。 おまけに彼らは不法移民なので、州当局が関知していない。米国には こうした人々が数十万人の規模でおり、2000年の統計によれば、 農業従事者のうち 75% がヒスパニック系 (つまり不法移民の可能性が高い) であり、 61% が貧困層よりも低い生活水準にあるという。さらにカリフォルニア州政府は最近 「不法移民に対しては、雇用者側に労働環境の基準を守る義務は生じない」とする 法律を可決した。これで彼らはいっそう酷使されることになる。まさに現代の 奴隷制度。これは社会科の教科書に出てくる 19世紀の話なんかではない。 聴き取り調査が行われたのは 2001年で、現在もまだたいして状況は変わってないらしい。 そしてたいていの人が数ヶ月でダウンして (病気になるかあるいは死ぬかして) 本国に帰るかあるいは強制送還されるのだが、農業経営者にとっては嬉しいことに、 彼らは次から次へとやってくるのだ。つまり、メキシコには それほど貧しい人が沢山いるということでもある。 さらに、経営者側は仕事がない季節には彼らがジャマなので、 (仕事がある時には不法移民を大量に輸入するにもかかわらず) 定期的に入国管理局と結託して移民を追い出す。どうせこいつらはメディアの前では 「自分たちは貧しい人々に仕事を与えてやっているんだ、 米国はいいことをしている」とうそぶくことだろう。その一方で、 安い鶏肉が生産されるのと一緒に、不具になった人も毎年毎年生産されている、 というわけ。まさに、鶏肉を食う (=買う) ことによって、オレは人肉を食っていたのだった。 おそろしや。
…ちなみに、こうした安い労働の問題は中国でもほぼ同様にあてはまると思われる。 まえにテレビで中国の綿花生産者のドキュメンタリーをやっていたが、すさまじかった。 うちら日本人は中国製品の質が悪いとか危険だとかよくいうが、 まともな中国製品であっても結局のところその裏で消費されているのは 大量の「安い人間」なのだ。それほど貧しいということだろう。 これは中国人から実際に聞いたことだが、同じ中国人でさえ、 内陸部の人の貧しさにはショックを受けるらしい (というのは、政府による報道規制がされているため、たいていの中国人は実態を知らないのだ)。
で、この本は帰りの飛行機と電車の中で読んでいたのだけど、 もう途中でグッタリきてしょうがなかった。そして著者は、ここがアメリカらしいところだと思うが、 こうした悪しき状態を変えられるのはすべて我々消費者の手にかかっている、 とまとめる。そして、米国民が取ることのできる行動 (代替となる食料品店をさがす、議員に嘆願する等) を説明している。 結局 (ケッキョキ)、新山が考える「いい本」というのは どれも最後には読者に向かって「アンタは十分に考えたか/考えているか?」という問いを つきつけるのだが、これが新山がノンフィクションを読む理由だ。 ようするに新山は「ガツーンとやられたい」のである。読みやすいだけの感動 “ノンフィクション” (のように見える、じつは脚色されたフィクション) を 読みたい人は、幻冬社の本でも読んでればいい。そういうノンフィクションの 娯楽小説化が一番悪いと思うのだが、日本でまわりを見渡してみれば そんなのばっかり。
(ここから日本時間)
今回は Clynelish 14yrs (46%) を買ってみる。 かなりマイルドで、てろっとした口ざわり。 オレはもうすこしクセのあるほうがいいや。 同じ highland でも Glenmorangie とかはなんであんなに バキッとした味なんだろう? 度数はこっちのほうが高いのにね。
Document ID: d41d8cd98f00b204e9800998ecf8427e
Yusuke Shinyama